@article{oai:kobe-c.repo.nii.ac.jp:00002024, author = {吉田, 純子 and Yoshida, Junko}, issue = {2}, journal = {神戸女学院大学論集, KOBE COLLEGE STUDIES}, month = {Dec}, note = {P(論文), アメリカの児童・思春期文学作家キャサリン・パターソン(Katherine Paterson)は、The Same Stuff as Stars(2002)において、困窮生活を送る曾祖母のもとに委棄同然に預けられる少女エンジェル・モーガンを描く。少女と曾祖母との出会いは、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」を想起させる。グレーテルが人食い魔女の恐怖の家に閉じ込められたように、11歳のエンジェルは、意気消沈する老女とともに深まる心の闇のなかに幽閉される。こうして少女は、一家が4代にもわたって貧困と犯罪の悪循環のなかで、絶望と苦闘してきたことに気づいていく。この物語は、主人公の視点から語られるが、子どもゆえにその視野は制限されている。ジェラール・ジュネットにより「内的固定焦点化」と呼ばれるタイプの物語である。従って、語り手の限定的な視野のせいで、あるいは登場人物たちの自らの悲惨な状況の理解不足のせいで、一種のサスペンス状態の読者は、モーガン一家のおかれている無力な状況を注視し、作者が主人公エンジェルの問題をどのように解決するのか、ひたすら見守ることになる。「傷ついた癒し人」の概念は、カール・G・ユングにより初めて言及され、心理分析家自身の傷つきがクライエントの傷の治癒力のもととなると説明されている。興味深いことに、スピリチュアル系著書で幅広い読者層をもつ、カトリック神父ヘンリー・ナウエンは、著書『傷ついた癒し人』において、牧師と訪問者との間に「傷ついた癒し人」のスキームが活性化されると指摘する。本稿は、「傷ついた癒し人」像に焦点をあてながら、主人公が精神的回復のエンパワーメントを得るために、いかに「傷ついた癒し人」たちからなる治療的共同体を形成するかを検証する。}, pages = {183--191}, title = {21世紀版「ヘンゼルとグレーテル」にみる傷ついた癒し人ーキャサリン・パターソンの The Same Stuff as Stars}, volume = {59}, year = {2012}, yomi = {ヨシダ, ジュンコ} }