@article{oai:kobe-c.repo.nii.ac.jp:00002035, author = {三杉, 圭子 and MISUGI, Keiko}, issue = {1}, journal = {神戸女学院大学論集, KOBE COLLEGE STUDIES}, month = {Jun}, note = {P(論文), John Dos Passos(1896-1970)の初期戦争小説、One Man's Initiationー1917(1920) と、Three Soldiers(1921)は作家の第一次世界大戦の実体験をもとにしている。前者は戦争の暴虐を主人公の視点に寄り添って主観的に描き後者は軍隊における個人の抑圧を複数の視点から表現し、主人公達の敗北的生き様には「男らしさ」が欠如しているという批判を浴びた。しかし、Dos Passosは「男らしさ」の問題について決して無関心ではなかった。彼は複雑な家庭環境から、精力的な父親にある種の畏怖の念をいだきつつ、自らの男性性に不安をおぼえていたと考えられる。折しも第一世界大戦は旧来の価値観に暴力的な終焉をもをたらし、「男らしさ」の理想は再編成を迫られていた。そしてDos Passosは作家を志すとともに、亡き父の期待に応えんとして誇り高き男になることを目指した。この二重の野心において、彼は20世紀のモダンな男性小説家というものを再定義せざるを得なかったのである。Dos Passosは、小説家という生業は一人前の男が誇るに足る立派な仕事であると主張した。彼が目指したのは、科学者のそれに匹敵する客観的観察力と表現力を備えた「歴史の建築家」としての小説家であった。そしてその精力的な仕事において、理想的な芸術作品は、対象への関与と超然の弁証法的統合から産まれると彼は述べている。InitiationとSlodiersにおける芸術家主人公達には、Dos Passos が目指す理想の創作の可能性が読みとれる。好奇心に突き動かされるInitiation の Martin Howe は、Soldiers において、自由を希求する活動の重要さに覚醒しつつも身を投じ得ぬ John Andrews へとつながる。彼らの野心は未然に終わるが、そうした関与と超然の狭間にこそ、成年男子の証となるべき優れた作品は産まれ得るのである。客観的視点と表現の達成を見るには、より成熟した後の作品群を待たねばならないが、Dos Passos の初期戦争小説には、新しい時代の小説家としての独自の「男らしさ」への模索がつづられている。}, pages = {125--140}, title = {John Dos Passosの初期戦争小説と男らしさの問題}, volume = {60}, year = {2013}, yomi = {ミスギ, ケイコ} }